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ヒートショックの原因と今日からできる対策・対処法

65歳以上の方が年間約6000人、自宅の浴室で命を落としています

春めいた日も出てきましたが、まだまだ真冬の寒さがぶり返すことも多いこの季節。

冬の冷えた体に、熱いお風呂はこれ以上ない癒しです。けれど、その「至福の10分間」が、命に関わる事態を引き起こすことがあると知っていましたか?

厚生労働省によると、65歳以上の高齢者が浴槽内で亡くなった件数は6,541人。同年の交通事故死亡者数2,116人と比べると、約3倍にのぼります。コラムVol.12 高齢者の事故 ―冬の入浴中の溺水や食物での窒息に注意―より

その大きな原因のひとつが「ヒートショック」です。

この記事では、循環器内科の医学的知見をもとに、ヒートショックが起こるしくみから今日からすぐ実践できる対策まで、わかりやすく解説します。

ヒートショックの原因は、血圧が急上昇→急降下!

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下に変動し、心臓や脳に重大な負担がかかる現象です。

入浴時は次の3つの「血圧変動の波」が連続して起こります。

ステップ①:脱衣所で血圧が急上昇

暖かいリビング(約20℃)から、冷え込んだ脱衣所(10℃以下になることも)に移動して服を脱ぐと、体は寒さに反応して血管を収縮させ、血圧が一気に急上昇します。

ステップ②:浴槽に入ると今度は血圧が急降下

寒さで縮んでいた血管が、温かいお湯(42℃以上)に触れると今度は急速に拡張します。

血管が広がると血液が全身に流れ込み、脳への血流が一時的に低下します。

この急低下が「めまい」「立ちくらみ」「一過性の意識障害」を引き起こします。

ステップ③:浴槽内で失神→溺水という最悪の結末

脳への血流が低下し入浴中に失神すると湯の中に沈み、溺死につながります。

さらに、65歳以上になると血圧を正常に保つ「自律神経の調節機能」が低下します

若い頃は急な温度変化にも血圧が素早く対応できますが、年齢とともにその反応が鈍くなり、血圧の乱高下が起こりやすくなります。

高齢になると、血圧を正常に保つ「自律神経の調節機能」が低下します

若い頃は急な温度変化にも血圧が素早く対応できますが、年齢とともにその反応が鈍くなり、血圧の乱高下が起こりやすくなります。

また、高血圧の方は、寒冷刺激で血圧がさらに急上昇するリスクがあります。

動脈硬化の進行に繋がる糖尿病・脂質異常症をお持ちの方は、血管が急な変化に対応しにくくなっています。

「自分は元気だから」という過信が最も危険です。持病のある方は、かかりつけの循環器内科に「入浴時の注意点」を必ず確認しておきましょう。

【今日からすぐできる!】実践的なヒートショック予防アクション

ヒートショックは、日々のちょっとした工夫で大きくリスクを下げられます。

当院のYouTubeで、心不全の方が安全に入浴するための工夫についてまとめていますのでぜひ参考に下ください。

今日から実践できるヒートショックを防ぐ7つのポイントを解説します。

ルール①:温度差を小さくするため脱衣所、浴室を暖めておく

リビングに比べると浴室は10度程度

熱めのお湯(42℃以上)は血圧の急変動を招きます。設定温度は41℃以下、湯船につかる時間は10分以内を目安に。これは厚生労働省も推奨している基準です。

心臓病・高血圧の方には、みぞおちから下だけお湯につかる**「半身浴」**(5分程度)がより安全です。

ルール②:お湯の温度は「41℃以下」、湯船は「10分以内」

熱めのお湯(42℃以上)は血圧の急な変動を招きます。設定温度は41℃以下、湯船につかる時間は10分以内を目安にしましょう。

心不全など心臓に負担をあまりかけられない方は、「半身浴」(5分程度)がより安全です。

いきなり湯船に入ると、急激な温度変化で血圧が乱高下します。心臓から遠い手足→太もも→体幹の順にかけ湯をして、体をお湯の温度に慣らしてから入浴しましょう。

ルール③:浴槽から立つときは「ゆっくり・手すりを使って」

急に立ち上がると脳への血流が低下し、失神のリスクが高まります。浴槽内でゆっくり座り直し、手すりや浴槽のふちを使いながら時間をかけて立ち上がってください。

ルール④:食後・飲酒後の入浴は避ける

食後1〜2時間は消化のために血流が消化器に集中し、血圧が下がりやすい状態になります。

アルコールも血管を拡張させて血圧を下げるため、飲酒後の入浴は大変危険です。

入浴後意識消失したことのある患者さんのエピソードを確認すると、飲酒後に入浴したという方が多くおられます。

ルール⑤:入浴前後に「コップ1杯の水」を飲む

入浴中は発汗で水分が失われ、血液が濃くなり血栓リスクが高まります。

また汗をかくことで脱水になるリスクもあります。

入浴前後にコップ1杯(約200ml)の水または温かい飲み物を補給しましょう。

冷たい水は急激な体温変化を招くので常温がおすすめです。

ルール⑥:入浴前に家族へ「ひと声」かける

家族などの同居者に「お風呂に入ります」と声をかけてから入浴しましょう。

万が一のときに家族が早めに気づくことで最悪の事態を避けることができます。

ルール⑦:普段から「家庭血圧測定」などの健康管理をしておく

普段から血圧を記録する習慣をつけ、「冬になると血圧が上がる」「めまいが増えた」などの変化を感じたら、早めに循環器内科を受診しましょう。

今日は体調がすぐれないと感じるときは無理に入浴せず、シャワーで済ませるか翌日に入るなどその日の体調に合わせて決めましょう。

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