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まだ症状がない今こそ心不全予防を ― 心不全予備軍(ステージA)の段階で対応する大切さ ―

症状がなくても「心不全の入り口」にいるかもしれません

診察室でお話をしていると、「まだ症状がないから大丈夫」とおっしゃる方が少なくありません。
しかし、私たち医療スタッフはこのような患者さんに出会うと、「いつか心筋梗塞や脳卒中を起こしそうだな」と感じることがあります。

このような病気や生活習慣の乱れは直接心臓とは関係がないように感じるかもしれませんが、

これらの病気や習慣を放置することで、心筋梗塞などの心臓病発症へと繋がります。

そして心筋梗塞などの病気が心不全発症につながっていきます。つまり、イラストのような病気や習慣が当てはまると感じる方は心不全予備軍(ステージA)と言えます。

この「まだ症状がない予備軍の時期」のうちに、生活を整えることで将来の心臓病を予防することができます。

2025年改訂版心不全治療ガイドラインの改訂ポイントとしても、予防が重要という観点からステージAの記載内容が充実しました。

心不全とはどんな病気?

心不全とは、心臓の機能が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を血締める病気です
一度心不全を発症しても、適切な治療を受けることで多くの方は症状が改善します。

ですが、内服の飲み忘れ、塩分の取りすぎ、過労、ストレス、感染、喫煙など生活習慣が引き金となって何度も心不全を繰り返す方がいらっしゃいます。

心不全は増悪を繰り返すことで治療をしても症状が良くならない、ステージDへ向かって徐々に進行していきます。
日本循環器学会のガイドラインでは、心不全の進行を4つのステージ(A〜D)に分類しています。

ステージA ―「心不全予備群」と呼ばれる段階

ステージAの代表的なリスク因子には、以下のようなものがあります。

これらに当てはまる方はステージB(図:心不全ステージ参照)に進む可能性が高い方です。

ステージAでの対処が「最良の治療」です

ステージAの方すべてがステージBへ進むわけではありません。

ステージAの段階で生活習慣を整えることが、最も効果的な“治療”になるということです。

具体的な生活習慣としては

  • 自宅での血圧測定、体重測定を習慣にしましょう。
  • 禁煙しましょう
  • アルコールは適量(1合程度)とし週2日は休肝日を作りましょう。
  • DASH食(野菜,果物,低脂肪乳製品が豊富な食事パターン)を心がけましょう。
  • 塩分の取りすぎ、食べ過ぎに注意しましょう。(腹八分目)
  • 散歩程度の運動を30分程度、できれば毎日行いましょう。
  • 処方されている薬は毎日忘れず飲みましょう。

などがあります。

心不全は、「年齢のせい」でも「突然の病気」でもありません。
日々の積み重ねで起こる病気だからこそ、日々の習慣で防ぐことができる病気でもあります。

血圧やコレステロールの薬を内服することについてマイナスなイメージを持たれている方も少なくありません。

ですが、身体に一番悪影響を及ぼすのは食事に気を遣わず運動もせず、薬も服用せずに高い血圧、高い血糖、高いコレステロールを長らく放置することです。

服薬の必要性を知る上でもまずは血圧を測定する、体重計に乗る、食事の塩分を控えるなどできることから少しずつ始めるだけで、将来の心不全発症を格段に予防することができます。

私たち医療スタッフは、皆さんの生活の中で「心臓を守る選択」が自然にできるようお手伝いをしています。

健診結果が気になる方、生活習慣の見直しを始めたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
症状がない今こそ、心不全予防の最良のタイミングです。

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