尿酸値が高いと言われたあなたへ:痛風だけじゃない!今すぐ始める改善策

高尿酸血症:尿酸の正体と尿酸が上昇する理由
高尿酸血症とは、血液検査で尿酸値が7.0mg/dLを超える状態のことです。成人男性の約20〜25%、成人女性の約5%が該当すると言われ、年々増加傾向にあります。
つまり、男性の4〜5人に1人は高尿酸血症ということになります。
尿酸は、体内で細胞が新陳代謝する際や、食事から取り込まれた「プリン体」が肝臓で分解される時に生じる、いわば燃えカスのような物質です。
体内で作られるものが約80%、食事由来が約20%を占めています。
「尿酸=悪者」というイメージが強いかもしれませんが、実は尿酸には体内の活性酸素を除去する抗酸化作用もあり、適量であれば体にとって必要な物質なのです。
なぜ尿酸値が上がるのか
通常、尿酸は作られる量と尿として排泄される量のバランスが保たれています。しかし、このバランスが崩れて血液中に尿酸が増えすぎた状態が高尿酸血症です。
尿酸値が7.0mg/dLを超えると、溶けきれなくなった尿酸が結晶(尿酸ナトリウム結晶)となり、足の指などの関節に溜まり始めます。
痛風だけじゃない!高尿酸血症が引き起こす恐ろしい病気
激痛の痛風発作
関節に溜まった尿酸の結晶が剥がれると、白血球が異物とみなして攻撃を始め、激痛を伴う炎症(痛風発作)が起こります。
多くの患者さんが「人生で経験したことのない痛み」と表現するほどの激痛です。
詳しくはこちらをご覧ください。
激痛の痛風発作
尿酸の結晶が腎臓に溜まることで、尿路結石や慢性腎臓病を引き起こし、腎機能の低下につながることがあります。
腎臓は一度傷つくと回復が難しい臓器なので、早めの対策が重要です。
腎臓の機能が低下していないかがわかる採血検査について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
命に関わる心血管病のリスク
高尿酸血症は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中といった生活習慣病や心血管病と深く関連しており、これらの病気を合併する方が多くおられます。
つまり、尿酸値が高い状態は、体全体の健康を脅かすサインなのです。
痛くもかゆくもないからと長らく放置して大病を患ってしまう前に、早めの対策を始めることが大切です。
今日から変える!尿酸値を下げる食生活
プリン体を多く含む食品
1日のプリン体摂取目安は400mgです。特に肉や魚の内臓類、魚の干物に多く含まれているため、これらの食品を頻繁に食べている人は注意が必要です。
プリン体は水に溶ける性質があります。
そのため、プリン体を多く含む食材を使った鍋料理やスープを作った際は、スープを飲み干さないようにするだけでも摂取量を抑えられます。
要注意!尿酸値を上げる食品
フルーツジュースなどに含まれる果糖は、摂りすぎると逆に尿酸値を上昇させます。
ビタミンCを摂る場合でも、ジュースではなく野菜や生の果物から摂り、果物も1日に片手に乗る程度にしましょう。
また、アルコールは体内でプリン体が作られるのを促進し、尿酸の排泄を妨げます。
プリン体を多く含むビールは特に尿酸値を上げやすいお酒です。
お酒が好きな方は、ワインやウイスキーに種類を変えたり、プリン体オフの商品を選んだりすることが推奨されます。
休肝日を設けることも重要です。
完全に断つ必要はありませんが、適量を守ることが大切です。
アルコールの適量や休肝日について詳しく知りたい方はこちらの動画をご覧ください。
積極的に摂りたい!尿酸値を下げる食品
牛乳やヨーグルトは尿酸値を下げ、痛風を予防する働きがあるとされています。
毎日の食事に取り入れやすい食品なので、朝食にヨーグルト100g程度を追加する
もしくは、牛乳をコップ1杯飲むなどを取り入れてみましょう。
尿がアルカリ性になると尿酸が排出されやすくなります。以下の食品を意識的に摂りましょう。

ビタミンCは尿酸の排出を促します。ビタミンCを多く含む食品の一例はこちらです。

効果的な運動と水分補給で尿酸値をコントロール
実は、運動なら何でもいいわけではありません。
短距離ダッシュや息を止めて力を入れるような筋トレなどの激しい運動(無酸素運動)は、かえって尿酸値を上げてしまいます。
おすすめは ウォーキング、スロージョギング、サイクリングなどの有酸素運動が効果的です。
強度は「楽である」から「ややきつい」と感じる、おしゃべりしながら続けられる程度が適切です。
時間は1日合計30分以上を目指しましょう。
まとまった時間が取れない場合でも、10分程度のこま切れな運動でも効果があるとされています。
通勤時に一駅分歩く、昼休みに軽く散歩するなど、日常生活に取り入れやすい方法から始めてみましょう。
水分補給が尿酸値改善のカギ
脱水状態になると血液が濃縮されて尿酸値が上がり、尿の量も減るため尿酸が排出しにくくなります。
1日の尿量を2L以上にすることが目標とされていますが、個人の健康状態によって適量は異なります。
持病がある方は、かかりつけ医に1日の水分補給の目安量を確認すると安心です。
水分補給には、水、白湯、カフェインの含まれていないお茶を選びましょう。
甘いジュースやアルコール、カフェイン飲料は適していません。
おわりに
尿酸値が高いという結果は、体からの大切なメッセージです。
今日から食生活を見直し、適度な運動を習慣にし、こまめな水分補給を心がけることで、痛風や心血管病のリスクを大幅に減らすことができます。
まずはできることから一つずつ、焦らず始めていきましょう。
数ヶ月後の検査結果が、あなたの努力を証明してくれるはずです。
ですが食事療法や運動習慣など日々の生活習慣を変えることは簡単ではありません。
尿酸値が高くて心配な方やあなたにぴったりの食事や、運動が詳しく知りたい方、節酒が難しいと感じている方など、一人で悩まず飯田医院へご相談ください。
あなたの健康を守るために、専門的なアドバイスとサポートをご提供いたします。