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心不全の方は夏にどれくらい水を飲むべき?熱中症対策と正しい水分補給を循環器専門医が解説

心不全や心臓病の方は夏にどれくらい水を飲めばよいのでしょうか。熱中症予防と心不全悪化を防ぐための正しい水分補給、水分制限、塩分管理について循環器専門医がわかりやすく解説します。

毎年夏になると、

「熱中症予防のためにしっかり水を飲みましょう」

という呼びかけを耳にします。

一方で、心不全や心臓病で通院されている患者さんからは、

「心不全だから水を控えた方がいいのでしょうか?」

「熱中症も怖いし、どれくらい飲めばいいかわからない」

というご相談をよくいただきます。

実は、心臓病の方にとって夏の水分管理はとても大切です。

水分が不足すると脱水や熱中症の原因になりますが、水分を摂りすぎると心不全が悪化することもあります。

今回は、心不全や心臓病の方が夏を安全に過ごすための「正しい水分補給」について解説します。

熱中症予防のために水分補給は重要

私たちの体は汗をかくことで体温を調節しています。

暑い環境では知らないうちに多くの水分が失われています。

特に高齢者では、

  • のどの渇きを感じにくい
  • 発汗量が減る
  • 腎機能が低下していることが多い

といった理由から、脱水や熱中症のリスクが高くなります。

脱水が進行すると、

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 倦怠感
  • 食欲低下
  • 腎機能悪化
  • 熱中症

などを引き起こします。

そのため、夏場の適切な水分補給は非常に重要です。

しかし「たくさん飲めば良い」わけではありません

最近は熱中症対策が広く浸透したことで、

「意識してたくさん水を飲んでいます」

という患者さんも増えています。

もちろん脱水予防は大切ですが、心不全患者さんでは飲み過ぎにも注意が必要です。

心不全では心臓のポンプ機能が低下しているため、水分が体内に溜まりやすくなっています。

過剰な水分摂取によって、

  • 足のむくみ
  • 体重増加
  • 息切れ
  • 夜間の呼吸苦

などが出現し、急性心不全で入院が必要になることもあります。

実際に夏場には、熱中症を心配して大量に水分を摂取した結果、心不全が悪化して救急搬送されるケースもみられます。

本当に重要なのは「水分」より「塩分」

心不全管理でよく誤解されるのが、

「心不全=水分制限」

という考え方です。

実は、多くの患者さんでは水分そのものよりも、塩分の摂り過ぎの方が問題になります。

塩分を摂り過ぎると血液中のナトリウム濃度が上昇します。

すると体は濃度を一定に保とうとして、

  • のどが渇く
  • 水分を欲する
  • 尿として水分を排泄しにくくなる

という反応を起こします。

その結果、体内の水分量が増加し、

  • むくみ
  • 体重増加
  • 心不全悪化

につながるのです。

心不全の再入院を防ぐためには、

まず減塩をしっかり行うこと

が重要です。

当院でも心不全患者さんには1日6g未満を目標とした減塩をおすすめしています。

心不全患者さんは全員が水分制限をする必要がある?

答えは「いいえ」です。

以前は心不全患者さんに対して広く水分制限が行われていました。

しかし近年では、

軽症から中等症の安定した慢性心不全患者さんでは、一律の厳しい水分制限は必ずしも必要ではない

と考えられるようになっています。

一方で、

  • 重症心不全
  • 心不全による入退院を繰り返している方
  • 強いむくみがある方
  • 低ナトリウム血症を伴う方

では、水分制限が必要になることがあります。

適切な水分量は患者さんごとに異なりますので、主治医の指示に従うことが大切です。

夏の水分補給のポイント

水分補給で大切なのは、

「一度にたくさん飲む」のではなく、「こまめに飲む」ことです。

おすすめは、

  • 起床時
  • 朝食後
  • 昼食後
  • 外出前後
  • 入浴前後
  • 就寝前

など、タイミングを決めて少量ずつ補給する方法です。

また、スポーツドリンクには塩分や糖分が多く含まれています。

大量に飲むことでかえって心不全や高血圧に悪影響を及ぼすこともありますので注意しましょう。

利尿薬を飲んでいる方へ

心不全の患者さんの多くは利尿薬を服用しています。

夏場になると、

「脱水が心配なので利尿薬をやめた方がいいですか?」

という質問をいただきます。

しかし、自己判断で薬を中止することは危険です。

利尿薬を急に中止すると体液が貯留し、心不全が悪化する可能性があります。

一方で、

  • 発熱
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食事や水分がほとんど摂れない

といった場合には薬の調整が必要になることがあります。

そのような場合は自己判断せず、医療機関へご相談ください。

心不全管理で最も重要なのは毎日の体重測定

当院で心不全患者さんに必ずお伝えしているのが、

「体重計は最高の心不全モニター」

ということです。

毎朝、起床後・排尿後に体重を測定してください。

特に、

  • 3日で2kg以上増加した
  • 足のむくみが強くなった
  • 息切れが増えた

場合は心不全悪化のサインかもしれません。

反対に、

  • 尿量が減った
  • 強い口渇がある
  • めまいがする

場合は脱水の可能性があります。

早めに主治医へ相談しましょう。

まとめ

夏の水分補給は、

「飲まなさ過ぎても危険」

「飲み過ぎても危険」

です。

心不全や心臓病の方は、

  • 減塩を心がける
  • のどが渇いたら適切に水分を補給する
  • 毎日体重を測定する
  • 薬を自己判断で中止しない

ことが大切です。

適切な水分量は病状によって異なります。

水分管理や減塩について不安がある方は、お気軽に飯田医院へご相談ください。

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